安島正二氏によるブランドcopano86。
安島氏は有名ブランドのパターンも手がけるパタンナーとしても大成された方。
それもあってcopano86の洋服たちは凝ったパターンメイキングになっているものばかりです。
といっても絢爛豪華な装飾美ではなく、引き算されきった「もの言わぬ装飾」の美しさがあるパターンだと感じます。
具体的には「布は身体にそわせる部分はそわせる」と「身体から離れてシルエットを作る部分はきちんと魅せる」のメリハリ、とでも言いましょうか。
copano86のすべての洋服を見たわけではないですが特にこのブレザーはそう感じます。
前身頃はポケット上部からゆるやかなカーブで胸下まで走るダーツと脇下に走るダーツで面を立体的に仕上げています。
後ろはセンターシームと左右のシーム、合計4枚パネルでとられています。
肩付近で少しカーブが急になっているのでなかなかに絞っているのではないでしょうか。
このあたりがポールハーデンなど他のブランドのブレザーとの違いですかね。
ポールのブレザーは後ろはここまで絞っていない分サイドベンツで裾を跳ねさせるイメージ。
一長一短ですが個人的にポールは着心地優先で着るブランドではないと思っているので長く付き合う場合には身体にどれだけ沿うか、はひとつの判断材料として大切だと思います。
裏地もすごく面白いつくりになっていてセンターシームのように見える部分が縫い付けられておらず、そこにタグが付けられています。
通常プリーツやギャザーでとるようなところをいっそ縫いつけない、というのが大胆で面白いですね。
裾の内側とラペル裏にレザーがあたっていて小気味いいワンポイントになっています。
どちらも淵が丸くとられていて重厚なカラーリングと素材感をすこし和らげる効果がありそうです。
また、ラペル裏のレザーパーツから首周りを納めるためのダーツがとられており、このジャケットはどうやら襟を立たせて着てほしそうな感じが伝わってきます。
まさにパターンメイキングの妙ですね。
生地は手触りすこし摩擦係数おおきめなウールヘリンボーンツイード、ですが揉むと厚みはそこまでではありません。
パターンメイキングに精通した人が生地選びをする場合どのような揺れ感にしたいか、沿い具合にしたいかを叶えやすく着る人に寄り添った服が作れるのかな、と思います。
多くのショップに取り扱われたり、大規模生産というわけではないのかもしれませんがだからこそ出来る「本質」の部分が詰まっている一着ではないでしょうか。
- CONDITION
- [B]: 使用感が少ないアイテム
- SIZE
- Size : 44
- 肩幅 / Shoulder : 45cm
- 身幅 / Bust : 53cm
- 着丈 / Length : 66cm
- 袖丈 / Sleeve: 62cm
- MATERIAL
- 表地:ウール78% リネン20% ナイロン2%
- 裏地:ナイロン70% ポリエステル30%
- COLOR
- Brown
- PROPER
- 約70,000円