本日は実用性・機能性を追求したブランド、MOUT RECON TAILOR(マウトリーコンテーラー)について。
アウトドアブランドやテック系のブランドは数多くありますが、その中でも最近アツいのがこのMOUT RECON TAILORではないでしょうか。
今回はそんなMOUT RECON TAILORの洋服たちの機能性について、そしてブランドが目指す到達点はどこなのかについて解説していきたいと思います。
MOUT RECON TAILOR(マウトリーコンテーラー)について
マウトは2017年に藤原 昌浩(ふじわら まさひろ)、柿迫 恒儀(かきさこ つねよし)の二人のデザイナーで設立されたブランドです。
藤原氏はWHITE LINE(ホワイトライン)、THING FABRICS(シングファブリックス)を手掛けるデザイナーであり、柿迫氏はCIRCULATION(サーキュレーション)をはじめ、レザークラフト、縫製、地金の鋳造、鍛造を自ら手掛けるデザイナーです。
カジュアルで実用的な服づくりは藤原氏の
ブランドコンセプト
ブランドコンセプトは「現行のミルスペックを引用し、都市生活における様々なシーンに対応するアクティブウェア」としており、まさに現代の最高峰の機能を搭載した生地、加工等を使用したブランドといえるでしょう。
これはブランド名の正式名称を読み解いていくことでも、垣間見ることができます。
マウトの略されている言葉をすべて英語表記し、一つ一つ意味を読み解いていくと、
Military Operations on Urban Terrain Reconnaissance Tailor
つまり、
Military・・・軍隊、軍事的
Operations・・・操作
On・・・上
Urban・・・都市
Terrain・・・接地
Reconnaissance・・・偵察
Tailor・・・仕立て屋
となり、これだけの意味が洋服に込められているということになります。
確かに洋服の大きなジャンル的には軍モノ、ミリタリーに分類されるかもしれませんが、それだけではない、むしろミリタリーの機能性を振り切った領域まで高め、そこへ都市に溶け込ませる仕立ての良さを取り入れた先駆的、革新的なブランドといえるのではないでしょうか。
次はそんなマウトのさらなる魅力を生地やつくりの視点から一緒に見ていきましょう。
生地
マウトのアイテムはどれをとっても先駆的、革新的な生地が使われています。
その中には世界ではじめてMOUT RECON TAILORが製品に使用した生地というものもいくつかあります。
そんなMOUT RECON TAILORの素敵な生地を見てみましょう。
c_change(シーチェンジ)
まずはハイテク素材を作り出しているSchoeller(ショーラー)社の中でもハイエンドなテクノロジーを搭載したc_change(シーチェンジ)。
この生地はウールフェイスでありながら三層構造になっており、生地表面はウール、中間にメンブレンシート、肌面にメッシュシートを配しています。
突然ですが、松ぼっくりは温度や湿度によって笠を開いたり、閉じたりする性質を持っています。
c_changeはこの特性・原理を取り入れた生地になっています。
つまり、生地自体が湿度や気温、体温の変化を感知し自動的に調整をおこない、着る人が快適な状態になるよう調節してくれるのです。
メンブレンシートは通常、このような機能を持っていませんが、この生地はそれを可能にしています。もちろん、完全防水ですし、ストレッチも効いています。
マウトではこちらを使用したハードシェル、ヘビーアウターを展開しています。
ちなみにヘビーアウターの中綿にはプリマロフトやクライマシールドを採用し、湿気が侵入したとしても痛むことのないようにしています。
3XDRY(スリーエックスドライ)
こちらもSchoeller社。3XDRYはこんな生地あったらいいな、を実現させたようなロマン生地です。
まずは撥水性。表面は水だけでなく汚れなども弾き、染み込みも防ぐ機能を持たせてあります。
裏面(肌に当たる部分)には水蒸気や汗をすばやく吸収し体の近くで蒸発させ不快感をなくし、身体を冷却させる機能を持たせています。
これにより着用中の湿度がコントロールできるようになり、体を長時間ドライに、快適に保つことができます。
着心地に対しても4WAYストレッチ、つまり縦横4方向ともに伸縮性に富んでいるのでこれ以上ないほどの快適さです。
そのうえ自宅の洗濯機で洗濯もできて洗濯後もすぐに乾きます。(一般的な生地と比べて1/5に短縮されるみたいです)
こちらはハードシェルのみならず、夏場にめちゃくちゃ活躍する素材ですので、MOUT RECON TAILORではショーツやシャツにも使用されています。
POLARTEC-Alpha(ポーラテックアルファ)
こちらも体温調節に優れた機能素材。3XDRYと考え方は近いですがこちらはインサレーション(中綿入りの生地)です。
ダウンの欠点だったムレや通気性の悪さを克服したこの生地。
熱すぎて汗をかいたりムレてしまったときにすばやく乾いてくれたり、それでいて濡れた状態でも保湿性をキープしてくれたりとまさに理想的なインサレーションの形といえます。
軽量で洗濯も可能とヘビーユースにももってこいの生地です。
CORDURA®COMBAT WOOL(コーデュラ コンバットウール)
インビスタ社の素材「CORDURA®」(コーデュラ)のナイロンは、軍やアウトドアシーンでも長く愛用され、一般的な毛織製品に比べて、摩耗強度14 倍という驚きの強度を持ちます。
そのナイロン糸を25%配合した生地がCORDURA®︎ COMBAT WOOLです。
耐久性はもちろんのこと、毛玉ができないなど普段使いにも嬉しい機能もあります。
MOUT RECON TAILORではこの生地をグローブに使用しています。
Microtech Nubuck Cloth Light(マイクロテック ヌバッククロスライト)
先ほどご紹介したPOLARTEC-Alphaを用いてさらに進化させたのがこの生地。
分割割繊という繊維をさらに細かく分割する方法で極細の繊維を作り出し、それを極限まで高密度に織りあげることで作られます。
その名のとおりヌバックのようなぬるぬるとした滑らかな風合いと高密度でヘビーな質感を兼ね備えたかっこいい化学繊維生地です。
超超高密度に織られているため撥水性に優れている一方で、化学繊維を使用しているので軽くて通気性は良いといういいところどり。
また化学繊維には珍しく経年変化を楽しむことができるという特徴をあわせもつユニークなハイテク素材です。
経年変化する化学繊維という点ではTEN-CのOJJ(ベンタイルミリクロス)に近いですね(あっちは編み物ですが)。
ユニークで革新的な加工
ここまでは最先端技術を使用した生地について見てきましたがここからは加工について見ていきましょう。
cold black(コールドブラック)
熱遮蔽機能を持たせるcold black(コールド ブラック)加工 。
通常黒色というのは光を吸収しやすいので熱がこもりやすいですが、この加工を施すことによって光を反射するようになり(眩しいわけではないです)、体感気温が外気温の-5℃ほどに感じられるようになります。
この加工は3XDRYに施されていて、3XDRYはSchoeller社の中でも群を抜いて機能性の高い生地になっています。
こちらの生地ではangle45(元々は軍の救命器具であるイマーションスーツからインスピレーションされた服)がリリースされております。
Photochromic(フォトクロミック)
次は光で色が変わる光機能性材料。
この性質をもちいてレンズにこれを加工したものがフォトクロミックレンズです。
普段はクリアレンズですが屋外に出たときは紫外線に反応して自動的にサングラスになるという優れもの。
周囲の明るさに応じて自動で、レンズの色が変わるので暗すぎて見にくい、などもありません。
MOUT RECON TAILORではNikon-Essilor(ニコン・エシロール)社のフォトクロミックレンズを採用しており、紫外線だけでなく可視光線にも反応しUVを遮断する車内などでもより濃いトーンに変化します。
機能性と日常着の融合
ここまで見てきてお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、MOUT RECON TAILORではGORE-TEXを使用していません。
基本的には機能性素材としてSchoeller社やPOLARTEC社の生地、CORDURAのコンバットウール等を使用しています。
理由として、もちろんロット(発注数)の問題などもあるかもしれませんがMOUT RECON TAILORが都市での使用・着用を想定しており、GORE-TEXだと強いハイテク感が出てしまうから、という点が大きいのではないでしょうか。
そのハイテク感がGORE-TEXの魅力でもあるのですが、MOUT RECON TAILORが想定しているシティユースの場面とは少し合わないのかもしれません。
先ほどご紹介したc_changeは表面がウールですし、CORDURAのコンバットウールも同様です。
デニムやチノパンといったカジュアルなアイテムとも相性の良いハイテク素材をうまく使うことで街にも溶けこむよう工夫しているのですね。
D’arteのMOUT RECON TAILOR(マウトリーコンテーラー)のアイテム
Shooting Hardshell Jacket ナイロンジャケット / MOUT RECON TAILOR(マウトリーコンテーラー)
20SS Anti-Microbial Mask マスク / MOUT RECON TAILOR(マウトリーコンテーラー)
POLARTEC®︎ クルーネックトップス / MOUT RECON TAILOR(マウトリーコンテーラー)
POLARTEC®︎ イージーパンツ / MOUT RECON TAILOR(マウトリーコンテーラー)
Single Rigger’s Belt コブラバックルベルト /MOUT RECON TAILOR(マウトリーコンテーラー)
MOUT RECON TAILORの最終到達点
いかがでしたでしょうか。
MOUT RECON TAILORの服たちはわたしたちの日常生活にうまく馴染み、そして快適な生活の手助けをしてくれています。
それは先進的な機能素材をいち早く取りいれ、それを実用可能なかたちに昇華しているからできること。
ハードシェルなのに透湿性を持っていたり、黒色なのに体感気温が低下したり…
そんな夢のような機能をもつ洋服をMOUT RECON TAILORは可能にしてくれます。
さらに彼らの洋服はきちんとストーリーがあり、アイテムやスタイルのルーツを紐解いて深く理解した末に作られています。
そしてそれらを仕立て(Tailor)のクオリティにまで昇華させている。
機能素材、ルーツ、技術。これらがすべて揃っていることこそがこのブランドの真髄といえるでしょう。
そんなMOUT RECON TAILORの最終目標は自分たちで作った製品を米軍に納入すること。
機能性素材や特殊加工の進歩もさることながら、彼らの洋服の進化にもまた目が離せません。
情報提供 : I
記事 : teku
MOUT RECON TAILOR(マウトリーコンテーラー)のお買取について
D’arteでは、アルチザンブランドの買取をおこなっております。
思い入れがあるけれど着ていない、使っていないお洋服などございましたら一度メールにてご相談くださいませ。
このコラムに辿りついて読んでくださった貴方のお持ち物に興味があります。
tekuhomme@darte.jp
ぜひこちらまで、ご連絡くださいませ。